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こんな牛がおりました

牧場では年間80頭近く牛の赤ちゃんが生まれます。

元気に生まれてくれる子がほとんどですが、一方で、

死産であったり

生まれてすぐに死んでしまったり

生き物をたくさん飼っていると本当に色々なことがあります。

私たちは「酪農家」。牛を飼い、牛乳を搾って、その牛乳を売ることで生計を立てるお仕事です。

牛をパートナーとして愛情たっぷりに接する一方、厳しい決断をせまられることもあります。

元気に生まれてきた子牛が雄だったなら

病気の牛の治療がかなり長引いてしまったら

ミルクが出なくなってしまったおばあちゃん牛は

その牛の命が終わると知りながらも、「出荷」という決断をしなければいけません。

だから私たちは、病気にならないよう牛を健康に飼い、

たくさん牛乳が出なくてもいい、毎年元気な赤ちゃんを産んでくれるように、

できるだけ長く健康に牛を飼い、牛舎内は極力清潔に保ち、敷き藁を毎日変え、

せめて牧場にいる間は幸せに生きてもらえるように、できるだけ長く牧場にいられるように

しています。(そうすることで、自ずとトータル乳量も増えてくる)

どうせ殺してしまう牛なのに、、、なんて言われることもありますが、牛がいないと食べていけないのでとても邪険に扱うことなんてできません。なのに最終的には自らの決断で牛の寿命が決まってしまうというのは、酪農家の辛いところでもあります。

個人的意見ではありますが、特に、今まで牛乳をたくさん出してくれていたけど、歳をとって妊娠しなくなってしまった牛を出すのは悲しい気持ちになることもあります。肉として、皮として、死してなお人の役にたつ牛に感謝と尊厳、敬意を込め、必ず、牛を乗せたトラックを見送ります。

トラックに乗せる前には、あんまり食べすぎると良くないから普段は与えていない、牛の大好物の餌を多めにあげたり、ブラシをかけてあげたりします。

前置きが長くなりましたが、ずっとミルクを出してくれてる牛たちを出す時には、なかなか言葉には表せない、おそらく酪農家以外の人には理解が難しいかもしれない、言いようのない気持ちになります。

平均6〜7歳で出ていく牛たちが多いです。(もちろん9歳でも10歳でも元気に赤ちゃん産んで牛乳出してくれる牛たちもたくさんいますよ!)

牛乳を出さない牛を牧場においておくことはできない、これは酪農を生業として生きている私たちの基本のルールです。

しかし、高秀牧場にはこんな牛がいて、先日、お肉として出荷の決断に至りました。

ハーゲンという名前の牛です。

11歳、未経産。酪農業界でも絶対いないと思います。生涯、牛乳を搾ったことがない牛です。

11年前、社長である私の父と、父の酪農仲間数人でわざわざ北海道に赴き購入したとてもよい血統の牛。この牛が大きくなれば、たくさん牛乳を出してくれる、この子の娘牛たちがたくさん牧場で活躍してくれるだろう。期待が大きかったのは事実です。この酪農仲間で糞尿処理施設を建て会社設立をしたり、色々な苦労と思い出がありました。

そうして高秀牧場にやってきたこの牛ですが、未経産とはいえ何度かの妊娠をしています。流産などで実際に赤ちゃんを産んだことはないのですが、採卵して体外授精による代理母出産で、自らが出産していませんが、11年間で孫の子供の代までいます。

ただ、自分で出産していないのでミルクが出ず、搾乳は一度もしたことがありません。本来、この子のような牛は牧場においておくことはまずないのですが、仲間と共同で買った牛であること、思い出がたくさんある牛だということで牧場スタッフから好かれる牛としてずっと牧場におりました。

なぜか男性スタッフが大好き。大人になってからも、抱っこ〜という勢いで駆け寄ってくる(巨体なので怖い 笑)

愛嬌のある牛で、他の牛が産んだ子牛を自分の子だと思っているのか、、、

本当のお母さん牛を押しのけてまで、自分が舐める、親牛の搾乳のために子牛と親牛を話すと、遠くからいつまでもモーモーと鳴いているような、みんなのお母さん牛でした。

想像妊娠でミルクが出たり、、、言葉がわからないけど、多分相当強い母性を持っていた牛だったのだろうと思います。

スタッフからはハーゲン様と呼ばれていました。

牛には乳房炎という病気があり、人でいう乳腺炎のような病気なのですが、

今回、搾乳したことのないハーゲンが、乳房炎になってしまったというから驚きです。

日々命の誕生や、死や、命のやり取りが行われている牧場ですが、このハーゲン様のことはきっと忘れないだろうなと思います。IMG_4349

 

 

 

 

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