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なぜ牧場で牛乳を販売していないのか?

「どうして牧場なのに牛乳を売ってないのか」

よく聞かれる質問なので、きちんと説明させていただきます。

牛乳は、ただ搾ったままでは製品として出せないのです。殺菌をしたり、パッキングをしたりの設備が当然必要ですが、この製造販売許可は、数ある食品の製造許可の中でもかなりハードルが高く、設備投資の金額も大きなものとなります。繊細なミルクは、管理を怠ると深刻な食中毒などの問題が起こりやすく、衛生面もしっかりとした設備が必要です。「工房」レベルではなく「工場」レベルのものが必要になってきます。

牛乳は、搾った時には温かいのです。牛の体温は約38℃ありますので、搾ったばかりの牛乳もそのくらい温かいです。搾ってからは外の空気に触れずにバルククーラーと呼ばれる牛乳タンクに入り、そこで速やかに4℃まで冷やされます。一般的にはそこからローリーに乗り、クーラーステーションという地域の牧場の牛乳が集められるタンクに入り、各工場へ運ばれていきます。工場では、殺菌処理(多いのは、130℃2秒、他にも75℃15秒や68℃30分など、殺菌方法も色々ある。牛乳パックの裏に書いてあるので、ぜひ見てみてください。低温で殺菌がされると風味を損なわないと言われています。高温になると、タンパク質が熱変異します。牛乳嫌いの人が「牛乳がくさい」というのはほとんどがこの乳たんぱくの焦げ臭によるものです)と、均質化処理(ホモジナイズド処理、脂肪を細かく均一な大きさにする処理。これをすることで、静置しておいても乳脂肪が浮いてこなくなる。最近は、ノンホモ牛乳と呼ばれる均質化処理をしない牛乳もある)がなされます。賞味期限は1週間程度しかつけられません。

※高秀牧場が牛乳を出荷している「八千代牛乳」は75℃15秒殺菌です。賞味期限は5日間。八千代牛乳は主に生協などで購入することができます。千葉県内には約20件の八千代牛乳生産者がいます。詳細はこちら。販売店舗もご覧になれます。高秀牧場では販売してないです。。。

搾ってから製品になるまで外の空気に触れず、さらに冷蔵状態をキープしなければいけません。

液体なので運搬が難しく、日持ちもしません。

牛からいただいているものです。毎日同じ時間に搾ってあげなくてはなりません。

高秀牧場では毎日約2トンの牛乳を出荷しています。

2トンといったら、皆様がご家庭で飲む牛乳パックが2000本です。

 

多額のお金がかかりますし、営業許可も取るのが大変ですが、「無理」というわけではありません。

でも、高秀牧場としてはせっかく牛たちが出してくれる牛乳をいただいている以上、余らせてロスを出すようなことは絶対にしたくないのです。毎日2000本の牛乳、、、今は売り切れる自信がありません。

今は、指定生乳生産者団体制度のおかげで牛乳は全量出荷できて、搾った牛乳は無駄にすることなく皆様にお届けできています。この制度では、国の指定団体が乳業メーカーとの乳価交渉や、販売を引き受けてくれるため、酪農家は牛乳生産に集中することができます。牛乳といっても、飲むだけではなく、バターやチーズ、生クリーム、脱脂粉乳など多岐にわたり加工がされていますよね。実は、飲用と加工用では牛乳の価格が違います。飲用、加工用といっても、牛乳自体に違いはありません。用途で価格が違うのです。同じ酪農をしていても、牛乳の用途で収入が変わってしまっては経営が成り立ちません。そのため、加工用の牛乳に対しては国から補填給付金が出ています。都府県は酪農牧場も多くなく、人口が多いし陸続きで輸送もしやすいためほぼ飲用で取引ができますが、人より牛が多い北海道では、加工乳としての出荷がほとんどだそうです。昨今、ニュースなどでよく話題になるようになりました。乳価の自由交渉ができない、というデメリットはあります。自分の牧場で搾った牛乳が他の牧場の牛乳と混じって販売されるため、生産者の特徴が出づらかったりします。また、牛乳は牧場によって大きく味や風味に差があります。季節によっても変化が大きいため、各乳業メーカーは色々な牛乳をブレンドして年間通して大きな差が出ないように調整しています。時々ニュースにもなる牛乳の異臭騒ぎは、品質異常によるものよりも、生産地や生産牧場が違うことにより風味が違うものになることが原因の方が圧倒的に多いです。(ここまで報道されないのが悲しい)日本の酪農を守るために一役かっている制度だと思います。

もちろん、この制度を使用せず、自分のブランドとして牛乳を販売する酪農家も数多くいます。こだわりの牛乳を生産して、こだわりを持って牛を育てて付加価値を付け、自由な価格で牛乳を販売することは全然悪くないです。

もちろん、営業力、販売力がなければいけません。牛乳は、毎日搾るものなので、売れないからといって製造しないわけにもいきません。売れる分だけ自家処理して、あとは出荷、自分の牧場で処理しない分は全部出荷、、、という方法はありますが、工場レベルの施設です。建ってるだけでお金がかかります。稼働していないともったいない。稼働し続けるくらいでないと。仕事ですもん。やっぱり、利益がないと続けれれません。この辺が、自社ブランド牛乳の値段の高い低いに関わってきます。

 

あーだこーだと色々なことを書き連ねましたが、牛乳、やりたくないわけではないんですよ。

高秀牧場の牛乳が世界で一番美味しいと本気で思ってますから。

そんな自信を持っている牛乳をみんなに飲んでもらいたいと思っていますから。

でも、まだ時期尚早。ミルク工房が始まってたった1年半です。まだまだローンもあります。そこで無理して工場建てて牛乳無駄にするようなことになったら、私が今まで大事にしてきた牛への愛情や感謝の気持ちが本末転倒。

今は、お店の中であれば高秀牧場の牛乳が飲めるようになりました。(飲食店営業の許可内。アイスクリーム製造業も取得しているので、牛乳の殺菌機があります。それを使用して68℃30分殺菌のノンホモ牛乳をお出ししています。)

現時点ではそれが精一杯です。

だから、まずは、酪農を一生懸命やること。それを見てもらうこと。

私はとにかく、牛が好きです。本来子牛のために出してくれてる牛乳をいただいている以上、一滴も無駄にしたくないんです。牛乳1ℓ出すのに、血液が400ℓも必要なんです。1日に30ℓも牛乳出してくれているんです。ロスが出るのがたまらなく嫌。お金の面だけじゃなく、私の気持ち的に、です。こういう気持ちは、ずっと持ち続けていたいんです。チーズやジェラートの加工施設を大型化しなかったのも、ここに理由があります。

チーズは賞味期限が比較的長いです。ジェラートは冷凍なので長持ちします。チーズもジェラートも今は作ったら全部売り切ることができます。チーズも、ジェラートも、牛乳工場に比べれば営業許可も取りやすいです。(もちろん、衛生面も踏まえて保健所にはたくさん相談したし、しっかりやっていますよ!)そして、自分のうちの牛乳100パーセント、ということができます。

数ある乳製品の中でも、大型化しなくてよくて、日持ちがするものを選んだ結果、今の営業形態になっています。飲食店営業のおかげで、お店で出すものに関してはある程度自由にできるようになっています。

数年後、どうなっているかまだわかりませんが、今現在、牛乳販売をしていないのはこんな理由があるからです。

高秀牧場がいつか牛乳販売を始めたら、私、買うわ!うちの店で使うよ!って言ってくれる方がたくさん増えれば、牛乳工場建てる勇気が湧くかも。。。

いつか、地域の子供たちが学校給食で高秀牧場の牛乳が飲める日が来るといいなあ。

お店で牛乳を飲んでくれて美味しかった!と言ってくれるお客様が、ご自宅でまた美味しい牛乳を楽しめる日が来るといいなあ!

毎日飲んでほしいから、価格もそんなに高くしたくないんです。(、、、スーパーよりは高くなっちゃうけれど、、、)

そんな日を夢見て、ただひたすらに頑張っていきます。

長い目で見守ってくださると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牧場について
TEL:0470-86-2131
チーズ工房
TEL:0470-62-6669
ミルク工房
TEL:0470-62-6669
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