2019/01/28
先日、高秀牧場で長年活躍してくれた牛が病により余命宣告されてしまいました。
コンテストで千葉県チャンピオンにもなったことのあるヘリオトロープちゃんです。
普段はもりもり餌を食べ、牛乳をたくさん出してくれる牛たちですが、生き物なので病気にかかることもあります。病気といっても様々で、点滴をしたりお薬を飲ませることによって治るものから、治らないものまで色々あります。治療中の牛のミルクは出荷できません。
具合が悪そうな牛がいれば、獣医さんを呼んでみてもらいます。
人間はお金をかけて完治を目指して治療をしますが、牛は違います。
酪農家は確かな愛情を持って牛と接してはおりますが、「酪農」は「仕事」です。
牛の治療には当然お金がかかります。治療して元気になって、たくさんミルクを出してくれるならば、その牛を治療することで牧場に利益をもたらしてくれます。
治療に時間やお金がかかりすぎる病気だったり、病にかかったのが高齢の牛だったりした場合、我々は「利益」の為にその牛の命を諦めなければいけません。「仕事」として割りきらなればいけない部分です。
、、、が、これが一番酪農家にとっても辛いことです。だから、牛が健康なこと、が1番大事なんです。だから病気をしないように餌や飼育環境にとても気をつけて牛を飼っているんです。
獣医さんも悲しい思いをすることがたくさんあるかと思います。動物の病気を治したい、という想いを持って6年も大学に行って獣医さんになれたのに、経済動物は治療に時間もお金も費やせないことを彼らはよくわかっています。治療にどれくらいの費用や時間がかかるか、理解している獣医さんは、治せることをわかっていても「あきらめましょう」という提案をしてきます。獣医さんの気持ちを思っても胸が締め付けられる思いです。
ヘリオトロープちゃんは、具合が悪くなり、獣医さんを呼ぶとすぐに余命宣告されました。治療することもできず、泣く泣く諦めなくてはいけませんでした。
でもヘリオトロープちゃん、妊娠していたんです。予定日は2月15日。獣医さんの「子供だけでも助けましょう」の提案により、帝王切開が決まりました。
無事帝王切開により出産を終え、獣医さんも綺麗にお腹を縫ってくれ、ヘリオトロープちゃんはそのまま家畜商の方に連れて行ってもらいました。酪農家は、牛が出荷されていくとき、感謝の気持ちやら寂しいやらなんや色々複雑な気持ちを持っておりますが、それでも仕事と割り切らないといけない部分ではあるので(仕事と思わなかったら精神的に病んでます。牛大好きで可愛くて尊敬してるのに、死ぬとわかっててお別れしなきゃいけないんですもん。)普段牛の出荷で泣くことなんてないのですが。
ヘリオトロープちゃん連れて行かれる時、牧場スタッフみんな泣いちゃいました。
つられて牛を連れて行くのに慣れているはずの家畜商さんも泣いちゃったりして。
みんなに愛されたヘリオトロープちゃんでした。
そうして帝王切開で生まれた赤ちゃん牛ですが、低体温、呼吸微弱でミルクも飲んでくれないし、、、
でも絶対助けたい!、、と自宅のリビングへと運んできました。
もんちゃんも寄り添ってくれてます!
ストーブつけて、毛布かけてあげて、とにかくあったかくして、、、
3日後には、元気に歩いてミルクもいっぱい飲めるようになりましたよ!
でね、、この子、お母さんのヘリオトロープとおでこの模様がそっくり!
な、、泣ける!
絶対この子を元気に育てあげる!と牧場スタッフが気合入っております。
毎日のミルクの生産現場では、日々、命のやり取りが行われています。
ミルクの現場は命の現場。ヘリオトロープちゃんの思い出とともに、この言葉をしっかりと胸に刻みたいと思います。
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